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https://ruby-mid.com/wp-content/uploads/2022/11/托卵.flac
今日の記事は、橘玲氏の「女と男、なぜわかりあえないのか」を参考にしています。
昨日と同じくなかなか刺激的ですよ。
みなさんも「托卵」という言葉をご存じと思います。
一応、簡単に説明しておくと、「托卵」とはカッコウやホトトギスが自分で子どもを育てず、他の鳥の巣に卵を産み落とし、育てさせる行為を指します。
カッコウやホトトギスの雛は短期間で孵化し、まわりの卵や雛を巣の外に蹴飛ばし、仮親からの給餌で成長するわけです。
親鳥は雛鳥が成長して自分よりも大きくなっても気付かないんですね。
ここから、通俗的に、「夫ではない相手との間にデキた子供を(夫の子であると偽って)夫と共に養うこと」を指す意味で用いられるようになっています。
それで、この「托卵」ですが、実際に人間集団ではどのくらい行われていると思いますか。
研究者の推定によれば、なんと10%です(遺伝病を調べるために行なわれた調査でも同様の結果がでています)。
たとえば、公立学校の40人学級の生徒のうち、平均すると4人が戸籍上の父親と生物学的な父親が違うことになるということですね。
これをそれほど多くないと考える人は少ないんじゃないかな。
ではなぜこのようなことになっているのでしょうか。
男性の生物学的な生き残り戦術は、妊娠可能なより多くの女とセックスしたいであるため、現実世界で一番都合が良いのは、妻に子育てをさせておいて、他の女と浮気をして子どもを産ませることです。
これに対して、女性はアルファ雄(猿の群等で一位のオスのこと。昔はボスといっていました)である、男性的魅力にあふれ、経済的にも社会的にも地位が高い男の子どもを産み、育てたいと考えます。
しかし、そういう男性には女性がいくらでも言い寄ってくるために、女性には幼い子どもと共に放り出され、飢え死にするリスクがあります。
そこで、一番手の男の子どもを確実に育てるために、一番手の男ほどではないが、それなりに能力を持った男を長期的なパートナーとして、托卵するわけです。
社会的な動物でもチンパンジーのような乱婚型なら、父親は子育てをしないので、血がつながっているかどうかに関心を持つ必要はありません。
しかし、一夫一妻型では、父親は子どもにさまざまな資源を投入するために、托卵戦術は大問題になります。
そのために、男性は、処女を珍重したり、思春期を迎えた女性の顔にヴェールをかぶせたり、クリトリスなど性器の一部を切除したり、貞操帯で性行為が出来ないようにするなどの言ってみれば文化的な防衛策を取ってきました。
また、妻や恋人に言い寄る男性たちを殴り倒し、他の男性に関心を示す女性を暴力で支配して托卵を防ごうとしてきました。
多くの男性が、この子は本当に自分の子なのか、妻が他の男と浮気をして生まれた子じゃないのかとの疑いに苦しめられてきました。
それでも、昔はそれを確認する方法がほとんどなかったためにそれほど大きな問題にはならなかったのですが、今ではネットでDNA親子鑑定キットが入手できるようになっています。
これほど托卵の発見が容易になってしまうと、女性側の托卵戦略も変更を余儀なくされるでしょう。
ただし、遺伝子レベルの話ですから1万年単位の時間が必要ですが。
では
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