
最近何回か取り上げましたが、フェミニストとアンチの間ではしょっちゅう非難合戦が繰り広げられています。
そして、そんなとき女性側は「モテない男の僻み」といった言葉を相手に投げつけるようです。
もちろん、「モテない」は女性にもあてはまらないわけではありませんが、特に男性に対して威力のある侮辱の言葉のように思います(あくまで私の感想ですが)。
「モテない」は男性にとって非常に重要な意味を持っているのです。
例を上げましょう(上野千鶴子氏の「女ぎらい」を参考にしています)。
皆さんは2008年に起きた秋葉原無差別殺傷事件をご存じですか。
簡単に説明すると、東京秋葉原で26歳の青年が秋葉原の電気街に買い物に来ていた男性やアルバイト中だった大学生らをトラックではね、ナイフで刺すことにより7人を殺害、10人に重軽傷を負わせた事件です。
それで、この事件の犯人K君は、その凶行の原因を受験失敗、派遣切りによる失業、そして、特に「非モテ」であると述べているのです。
たとえば、ウェブ上に次のように書き込んでいます。
「顔さえ良ければ彼女ができていたでしょうし、彼女ができていれば性格も歪んでいなかったでしょう。
普通に普通の仕事をつづけ、部屋と車を維持して普通の生活をしていたでしょうね。顔がすべての元凶です」
さらに「彼女がいれば、仕事を辞めることも、車を無くすことも、夜逃げすることも、携帯依存になることもなかった。希望がある奴にはわかるまい」とも書いています。
K君は自分のルックスにかなりのコンプレックスを抱いているようですが、ネットに上げられた写真を見るとイケメンではないものの、別にそこまでの醜男ではないと思うのですが。
まあ、そのあたりはその人の観点ですからいいとしましょう。
しかし、彼の考えは、なんというか、甘えきっていますね。
自分の欠点をすべてルックスのせいにしている。
モテない理由もルックス、ひいては女性のせい。
そして、彼は目立つために事件を起こします。
もちろん、犯行の動機や犯罪に至る経緯はかなり複雑なのですが、事件自体がテーマではないので、詳しくは書きません。
ところで、このK君の考え方は少し前に触れた少年Aを思い出させます。
少年Aは幼稚な全能感を語り、K君はコンプレックスを口にしていますから正反対のように見えますが、中身は同じようなものです。
他人のことを本気で見ず、自分のことしか考えていない。
安易な結論に飛びつく。
そして、二人とも身勝手としかいいようがない言い分で多くの人を殺傷しました。
そういえば、K君は「彼女がいれば・・・」と書いていますが、そんなことはないでしょう。
このような考え方をする人間は彼女がいても、何か気に入らないことがあるととんでもないこともしでかす可能性が高いと思います。
そして、責任を彼女になすりつけようとする。
いずれにしても、秋葉原無差別殺傷事件は全面的にK君が悪い、これに異論をはさむ余地はありません。
ただ、私は、K君が「モテない」ことを犯行の理由として上げていることが気になります。
「モテる、モテない」が絶対的な価値観となり、K君のように、それに振り回される男性が少なからずいるのではないでしょうか。
もちろん、「非モテ」の男性全員が凶行に走るわけではありませんが、このようなくだらない価値観はもう止めにすべきでしょう。
無用のコンプレックスに悩まされる男性を少しでも減らすために。
長くなるので明日に続きます。
では